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社会的な関心が高い分野、重点分野とされている研究を指導する方たちに、研究の意義や方法を聞きました。
岸 輝雄 氏「世界トップレベルの材料研究拠点を」
ものづくり立国に直結する先端分野としてナノテク・材料への期待は大きい。第3期科学技術基本計画でも、ライフサイエンス、情報、環境とともに、重点推進分野の一角を占めている。日本の材料科学の研究レベルが世界に誇るレベルにあることは、論文の被引用数データからも明らかだ。日本の物質・材料研究の拠点というだけでなく、世界のトップレベルの研究拠点を目指す物質・材料研究機構の岸輝雄理事長に材料研究の方向を尋ねた。
第3回 急を要する工学系の人づくり
(掲載日:2008年5月19日)
- 新しい材料開発技術体系であるナノアーキテクトニクスに基づき、「持続可能な発展」に資する新規材料の開発を推進する。これが拠点の目指すところとされていますが、具体的な研究の進め方はどのようになりますか。
岸 輝雄 氏
一番大事なのは新しい研究分野の方向を出せるかです。ナノマテリアル、ハイブリッドマテリアルに加えて、ポリマー系列、バイオマテリアル、これらを大きく発展させるというのが、われわれの考えている方向です。
前に生命科学も物質科学の延長になっていると言いましたが、これからの進むべき方法は、原子、分子のレベルまで考えて材料をつくるということです。ナノマテリアルこそ今後の物質を引っぱっていく基礎物質技術であり、ナノテクノロジーがうまく行けば行くほど、本当に面白い材料を作り上げることができるのです。ハイブリッド材料、カーボン系材料いずれをとっても結局、ナノテクの延長になってきます。ナノテクと材料は今後密接な関係を保って進んでいくでしょう。幸い日本は材料、ナノテクいずれも強いといわれています。
では、どうやって進めようかということですが、やはり世界中からトップレベルの研究者をなんとしても集めないといけません。新領域を開拓することが大事なのであって、今いる人たちの仕事を増やしても意味がないということです。
日本はともすると年寄りで名を成した研究者を集める傾向がありますが、われわれが高い給料を払ってでも国内外から集めようとしているのは、ある程度、業績があり、世界に通用しそうな40歳前後の人材です。このプログラムは10年続きますから、50歳を超える人を採っても、プログラム終了時にはいません。それでは物質・材料研究機構で研究を進めた効果があったのかどうかわからないということになってしまいます。50歳以下の優秀な若手研究者を集めるのが最も大事なところです。
- 人材という話になりますと、最近、日本で聞かれる話は芳しくないものばかりですが。
世界中どこへ行っても、研究開発の現場では博士が活躍しています。日本だけが違います。相変わらずキャッチアップ型でやろうとするなら修士で足りるでしょう。しかし、本当に最先端を走るなら博士が中心にならなければ駄目です。つまり、日本企業は本当に技術開発をする気があるのか、本当に将来を読んでいるのかということなのです。
物質・材料研究機構・若手国際研究拠点の研究者たち
(提供:物質・材料研究機構)
(
続く
)
岸 輝雄 氏のプロフィール
1939年生まれ、69年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、東京大学宇宙航空研究所助教授、88年東京大学先端科学技術研究センター教授、95年同センター長、97年通商産業省工業技術院産業技術融合領域研究所所長、2001年から現職。日本学術会議会員(03~05年は副会長)。専門は材料(金属、セラミックス、複合材料、スマート材料)、特に金属材料の微視破壊に関する研究、セラミックス、複合材料の高靭化を主な研究テーマとする。02〜07年文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター センター長。
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