日本学術会議の「被災地域の復興グランド・デザイン分科会」(委員長 進士五十八・東京農業大学 名誉教授)は、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染に対して、「放射線の測定を広域的に行い、詳細な放射能汚染マップを作成し、系統的に除染を進めなければならない」などとする「東日本大震災被災地域の復興に向けて-復興の目標と7つの原則(第二次提言)-」
を公表した。
提言は、例えば年間被ばく線量を5ミリシーベルトに下げるため校庭の表土を削り取っても、周辺地域からの放射線の影響は残り、風、雨、動物、人の移動によって、放射性物質が拡散する可能性が高いとしている。このため、地域のどこまでの範囲を除染するかについての工程表が必要、と指摘している。
さらに削り取った表土など増える一方の膨大な放射能汚染廃棄物の最終処理対策を早急に立て、除染の流れをスムーズに加速する必要があることも強調した。また、空間線量率を減らすために伐採した放射能に汚染された枝や落ち葉などを焼却する排煙処理装置を備えたバイオマス発電所を福島県内の数カ所に早急に建設することが、電力源にもなり一挙両得の施策だ、と提言している。
汚染された農畜産物残りかす専用の燃焼炉や、量の多いバイオマスを燃焼濃縮した超高濃度放射性物質の焼却灰などをセメントなどで固めて埋設施設に処理する場所の選定も緊急の課題だとしている。
福島県では、一部の校庭、公共施設や道路の表土を削る対策が既に始まっている。しかし、提言によると除染した部分だけは当初の1-2割に線量が減るが、空間線量は半分以下には必ずしも減っていない。
提言は国に対し、除染対策の本格的展開を図る上で、特に住民の将来設計に必要となる的確な情報提供を行うことと、行政の判断材料となる広域的かつ即地的なデータの提示、さらに土地利用制限への多段階的ゾーニング(都市計画)を示すことも求めている。
このほか、急務となっている「復興計画」策定の主体は、被災した自治体であるべきだとして「いのちを育む都市計画」や、再生可能エネルギーの導入などを視野にいれた「流域自然共生都市」といった発想の転換も提言している。

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