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レビュー

レビューのコーナーでは、編集部が注目した科学技術をめぐる新しい動きに焦点をあてます。

【2007年9月28日 電子アーカイブの意義 】

データベースに保存されている新聞記事は、一定の“賞味期限”を過ぎると急激に引かれなくなるという。「ニュース」は、やはり古くなると「ニュース」ではなくなるということだろう。学術論文誌というのは、どうだろうか。

東京大学と科学技術振興機構が電子アーカイブ事業を円滑に進めるために結んだ連携協定について、28日付の科学新聞が詳しく伝えている。電子アーカイブ事業というのは、科学技術振興機構が2005年度から始めたもので、「日本の文化的資産である過去の学術論文誌を創刊号までさかのぼって電子化し、公開する」事業だ。優先度の高いものとして197誌が選ばれ、電子化の作業が進んでいる。

ところが、関連の学協会がすべて刊行した雑誌を保存しているわけではなく、結局、197誌の「96%が東京大学付属図書館に良好な状態で所蔵されていることが明らかになった」。現在、日本で最も書籍類の所蔵数が多いのは国会図書館だが、それは近年の話。長い間、日本国内で最も多く書籍類を持っていたのは東京大学で、それも古いものが多数あるのが、特徴という。東京大学の協力を得るのが、科学技術振興機構にとってはもっとも効率的ということになる。

東京大学が、科学技術振興機構の電子アーカイブ事業に積極的に協力するメリットは何か?科学新聞の記事は、小宮山宏・東京大学総長の次のような言葉を紹介している。

「東大の図書館には850万冊の蔵書があり、毎年膨大な数の本が増えています。そういうものをどうアーカイブ化していくのか、これは文化の継承という観点から本質的に大事な問題です。…学術論文誌について言えば…論文投稿・査読・公開という論文誌のシステムが利用しやすいものとなれば、その論文誌のインパクトファクターも上がるはず。…欧文誌だけでなく、日本独特のものというのも、特に文系には多数あるわけで、その両方についてアーカイブ化は重要なのです」

具体的な作業として、東京大学付属図書館内に米国キルタス社製のブックスキャナーを2台導入し、学術論文誌の電子化作業が進んでいる。このスキャナーは本を傷めずに内容を写し取ることができるのが長所で、1台2,500万円という高価な装置だ。科学技術振興機構は「当面、500誌を目標に電子アーカイブ事業を進めていきたい」(沖村憲樹理事長)という考えだが、小宮山総長は次のようにも言っている。

「キルタス1台でスキャンできるのは、1日8冊という話だから、2台では東大の本850万冊をアーカイブするのに1000年以上かかることになりますね。もっと台数が必要です」

いったん手元に置いた本の処分もむずかしいが、蔵書のうちどれだけをアーカイブするかも、今後、相当悩ましい問題になりそう、ということだろうか。

 


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