サイエンスポータル5周年に寄せて
サイエンスポータル特派員から、開設5周年に向けてメッセージをお届けします。
| 科学教育も対話が大事 |
仕事柄、日々、中高生と接している。彼らは一般の成人よりもおそらく、多く「科学」に触れている。授業において、理科、そして物理・化学・生物・地学という名の教科書と、である。
定期試験の前に、暗記すべき法則・公式や専門用語とにらめっこする。コンパクトに系統立ててまとめられている一方で、カラフルなページデザインであるために、ラインマーカーを引く必要が少ないのが日本の教科書の特徴だ。
教科書に記述される科学知識の断片をつなぐストーリーや、教科書の内容が書き換えられるような最新の研究成果などとは、どこで出合えるのか。科学系メディアの任務は、学校教育を修了した人々に対してだけのものではない。
「自然体験が少ないことが、子どもの理科離れを後押ししている」そんな論調が見受けられる。確かに、幼少のころの本能的な驚きの経験は貴重なものだ。しかし、その後の理性的で知的な思考も、人格形成の上で重要である。
メディアは、初学者にフレンドリーな情報発信を必要以上に目指すべきでない。かえって難解であった方が、学術的な興奮が与えられることもあるからだ。「もっと知りたい」という、彼らの学習意欲の高揚への期待だ。
ただし、それが機能するための要件がある。児童・生徒・学生と専門家との空間を仲立ちする、科学コミュニケーターとしての教育者のポジショニングである。「教える」だけでなく「対話させる」職能がいま求められている。
安田 和宏
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| 本を紹介するということ |
私のサイエンスポータル特派員としての初めての記事は、2008年6月に掲載された「科学のおすすめ本」のコーナーでした。他にもハイライト記事なども手掛けていますが、一番回数の多いのは、やはり本の紹介のコーナーになります。
皆さんは、本を選ぶときには、どのような方法で選びますか。人に紹介されたり、前もって書評を読んだり調べたりする場合もあるでしょうし、書店で直接見つけることもあるでしょう。それでも分野としては、自分の得意分野に関連した本が多いのではないでしょうか。このサイトでは、科学に特化ながらも、専門書ではなくいわゆる新書や読み物が多く紹介されています。もちろん、分野もさまざまです。
本を紹介するということは、「面白い。ぜひ皆さんに読んでもらいたい。」という思いを伝えるということだと思っています。そのためには、本の中身だけではなく、その背景や作者の人物像なり、そして時世とのかかわりも織り込むことが必要と考えています。掲載された紹介文に対して、「ぜひ、読みたいと思った。紹介してくれてありがとう」という読者の声や、出版社サイドから「思いが良く表現されている」と評してもらうことがあります。私自身、非常にうれしく思いますし、今後の励みにもなります。
この活動を通して、自分も多少苦手な分野の本を読むことも増え、それは視野を広げることにも役立っているようです。これからも、このサイトをきっかけに、実際に本を手にする利用者が増えてもらえるよう、たくさんの本を紹介していきたいと思っています。
そしてこれからも、サイト開設5周年を迎えた「サイエンスポータル」が、たくさんの皆さんに利用されて、大きく発展していきますように心より願っています。
神村 章子
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| 一期一会の心で取材 |
サイエンスポータルの拙稿をふり返ると、20人以上の科学者を取材させていただきました。近年、札幌でも大きな国際的な学会などの開催に恵まれ、道外(海外を含む)の方々が半数を超えています。環境や医療を主に取り組んでこられたのは、編集長のご指導と先生方が温かく接してくださったおかげです。
Webではリンク機能によって記事の記憶がよみがえり、反復され、あるいは新しい発見をします。リンクされた先生方が互いに親しまれることがあればと、時おり過去を瞬時に探索できるWeb世界が現在の人と人を結ぶという夢想をします。
専門分野を広く一般に伝えるにあたり、先生方の真摯(しんし)な姿勢にも教えられました。記事の公開数カ月後、用語が適切だったか再度お調べになった上、「現状でOK」とのご連絡をいただいたことがあります。疾病などについては、医学的に正確な表現であっても患者さんの心情に気をつけたいです。ご高名な先生方が快く私の要望に耳を傾けてくださったことも良い思い出です。
フランスの地理学者は、日本が景観と自然を大切にして、豊かな食生活と文化を育んできたことを高く評価し(ジャン‐ロベール・ピット氏 フランス地理学会 会長、前パリ・ソルボンヌ大学 総長【食文化と景観の魅力】)、インドネシアの女性教授は、日本人の勤勉さ、誠実さを賞賛くださいました(ハニー・C・ウィジャヤ氏 ボゴール農科大学農業技術学部教授【農学で結ぶ北海道大学とインドネシア】)。先人が築いてくれたこのような国民性が、世界のトップクラスの科学技術の原動力になってきたのではないでしょうか。サイエンスの英知が被災地のみならず、日本のより良い明日の光となることを祈りつつ、一期一会を胸にこれからも取材して行きたいです。
成田 優美
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